本校は、宝暦8(1758)年に小倉城内に開設された小倉小笠原藩校・思永斎(のち思永館と改称)を源流としています。小倉藩は幕末維新期の激動の中で藩庁を豊津(当時の錦原)に移して豊津藩と改めました。明治3(1870)年、何よりも優先して藩校・育徳館という 「学問の城」 (校歌より) を開校し、人材育成による藩の再建をめざしたのです。その後、育徳学校、第35番中学校、豊津中学校、豊津高等学校と変遷していきますが、育徳館の建学精神は脈々と受け継がれ、政界、財界、官界や、学者、文化人、スポーツ選手等多くの著名な卒業生を輩出してきました。福岡県下最古、全国屈指の伝統校であり、平成30年には創立260年を迎えました。
平成16年度から福岡県下で初めての中高一貫教育校(育徳館中学校・育徳館高等学校)となり、「育徳」 の校訓と 「文武両道」 「質実剛健」 の校風のもと、徳・知・体のバランスのとれた次世代リーダーを育成してきました。育徳館時代の黒門、県の重要文化財である旧制豊津中学校の講堂・思永館、校歌の作詞者・小宮豊隆(夏目漱石 「三四郎」 のモデル)の記念碑を囲む 「三四郎の森」 等を配する広大な校地と新校舎で、生徒たちは高い志を持って日々 「学にいそしみ」 (校歌より)、放課後は部活動で心身を鍛えています。平成29年8月には、管弦楽部が第41回全国高等学校総合文化祭宮城大会に出場しました。
本校の特徴は、6年間を見通した系統的な指導プログラム 「育徳ビジョン」 に基づいたハイレベルな学習指導、進路指導を行うとともに、市町村立中学からの入学者への教科学習等の手厚い補充や人間関係づくりのフォローアップを充実させていることです。このことで、すべての生徒がそれぞれの個性や能力を発揮して 「一心不乱事に向」 かうことができます(校歌より)。
また、体育大会や文化祭は中学校と高校の合同で行います。さらに平成28年度から、これまでの東京研修に加えて、高校2年生を対象にシンガポールへの修学旅行を実施しています。グローバル化が急速に進展する今日、高校生の時期に海外を自分の目で見て肌で感じる体験が生徒の視野を広げ、大きく成長させてくれるものと考えます。
これからも本校の歴史と伝統を大切にしつつ、国や県の教育改革の動向を踏まえながら、(1)品位を備え、人として良い行いができる生徒(徳)、(2)確かな学力を身につけた生徒(知)、(3)志を高く持ち、挑戦を厭わない、心身ともに逞しい生徒(体)の育成に努めてまいります。